オンライン勉強会

「自己内省」コース

自己内省第2部
 
『It's Up to You(仮題、心の鏡の見つめ方)』(ズィガー・コントゥル・リンポチェ著)を題材にしたオンライン勉強会で、教えに息吹を吹き込み、生きた体験とする「自己内省」について、学んでいきます。

開催日:第1回、2018年11月3日(土)20:00から約1時間半
参加費:1,5000円(全22回分の費用)
参加方法:オンライン・カンファレンス・アプリ、Zoomによるビデオ会議による参加(PC、Mac、スマートフォン等が必要)
テキスト:テキストはその都度お送りいたします。
 
参加ご希望の方は、10月27日までにこちらまでご連絡ください。
 

以下は、『It's Up to You』序章です。
 

序章

幸せを求めることは誰にも共通する普遍的なものである。また、幸せや人生の意義を見出す以外にも、私たちは善良で、良識な人間でありたいと願っている。善良で、良識ある幸せな人間になりたいという願いは理にかなうだけでなく、崇高な願いでもある。しかし、皮肉にも、多くの人はこの願いを叶えようと様々なことを試しては挫折し、苦悩している。理想とするイメージを思い描いても、疑念や、恐れ、不安に振り回され、苦しんでいるようだ。
 
精神の道では、「覚り」について語られる。しかし、鏡に映し出される今の自分の姿と、この覚りをどのように整合すれば良いのだろう?迷乱した心から目を背け、覚りを求めても、そのような修行は目の前の直接の体験と切り離されたものとなる。一方、悪しき心の習慣にだけ目を向けるなら、自己没頭の苦痛に陥り、全く身動きが取れない状態になる。
 
この自らの迷乱した心と覚りのイメージを整合させようとする苦悩は、道を歩み始める最初の出発点となる。これは自由と幸せを求める、心の深い欲求の表れであり、それ自体、生きとし生けるものに備わる心の大いなる潜在性の存在を示唆している。しかし、この大いなる潜在性が備わるからといって、初めから高貴な覚った存在であるという意味ではない。道を歩み始めても、迷乱は続く。しかし、この迷乱は、避けようとしたり、戦いを挑むのではなく、活用していくこともできる。大いなる潜在性と心の神経症の両方を受け入れられるようになるには、ある程度、心が成熟する必要がある。そしてこの成熟は、自己内省の行により育むことができるのだ。
 
自己内省とは、心に何が生じても、善悪の分別なく正直に心を見つめる精神であり、それを実践する行為そのものである。おそらく、不快な体験を取り除き、心地よい体験を追い求める傾向が強いことから、いざ自己内省に挑戦してみると、習慣の圧倒的な力の前に実践が難しいと感じるかもしれない。しかし、自己内省の行には、他には見られない「美点」と「寛容」がある。それは「今体験している以外のものを必要としない」ということだ。一切の先入観なく心を見つめることができれば、心の大いなる潜在性と迷乱の両方に智慧の光をあてることができる。そうすることで、これまでの心のあがきを、覚りの道の土台へと変容させることができるのだ。
 
自己内省は、仏教のあらゆる伝統や系譜に共通するテーマである。そして教えに息吹を吹き込み、生きた体験とすることで、修行を単なる別の娯楽へと貶める危険から私たちを守るものなのである。
 
 
目次
第一章:自己内省の行
一節:心の鏡の見つめ方
二節:心の映画館
三節:石器人と賢者の遺産
四節:生まれながらの財産
五節:師を鏡とする

第二章:恐れのない自己内省
六節:勇気
七節:拠り所
八節:習慣や恐れとダンスする
九節:妄想の勢い
十節:速度を緩める
十一節:世界を引っ掛けない
十二節:今にある
十三節:自己愛着を超えてゆく
十四節:敵と味方を見分ける
十五節:心を広げる
十六節:ユーモアのセンス

第三章:世界での居場所
十七節:行為と目的
十八節:日常、睡眠、夢で目覚める.
十九節:気品
二十節:創造力
二十一節:大いなる可能性